ガンの宣告を受けて、入院ということなると当然会社の社長に顛末を話さねばならない。
一通り主治医からの説明を思い出しながらレポート用紙に書き提出。当然、口頭による説明もした。
 
要点は、治る見込みの無いガンで、抗癌剤による治療しかない。従って、私の場合の抗癌剤による治療は「延命治療」となる。
抗癌剤は腫瘍が耐性を付けると効果がなくなるので、その都度抗癌剤を変更することになる。その場合、2〜3週間の入院(経過観察を含む)になる。
抗癌剤は何種類あるのかわからないが「効果があると思われる薬剤から順番に使用される」(ローテーションもあるらしい)。を包み隠さず告げる。

社長から「なにがしたい」と聞かれる(おそらく休暇をとって海外旅行に行きたいとか、見たことがないところを見てみたいとか、そんな回答を期待していたのかもしれない。)。

私は、そういう質問があることを全く予測していなかったので30秒ほど固まってしまったが、
「会社に在籍していたいです」と答えた。
(私は、慢性関節リウマチで、化学療法を受けていた経験がある。化学療法の点滴ってビックリするほど高くて「治療はお金だ」というのを知っていた。とっさに会社に在籍しておく方があらゆる社会保険制度を利用するには有利だろうと判断したからだ。)
そして、社長にも正直に「治療にはお金がかかる」。すくなくても、ここ数年は生きていたいので、給料は安くなっても会社に在籍することに意味があるからだと伝えた。

社長は、あまりにも現実的な話に少し驚きながらも了承してくれた。

社長への報告の後、仕事仲間にも同様の自分の健康状態の説明をし、今後迷惑をかけることが多くなることの理解求めた。

「会社に在籍していたいです」と答えてみたものの、それで良いのか?という疑問は今でもある。

もし、経済的な問題がなければどうしたいのか、自問してみた。
答えはすぐにわかった。

一瞬たりとも離れることなく、家内と一緒に時間を過ごしたい。(犬、柴犬も飼っているので、犬も一緒なんだけど)

ただ、この希望は未だに家内には言えずにいる。
今更感があって照れくさいし、それに私はどちらかというとヒッキーで、家内と連れ立ってどこかに行くというよりは、家で家内の側にさりげにいるのが好きなのだ。家内にすれば鬱陶しく「つまらない男」なんじゃないかと思う(笑)
幸いなことに私はまだ元気で過ごせているので、このお願いはもう少しあとにしようと思っている。
その時は、家内と一緒に犬を連れて「伊勢」「神戸」「萩」「鎌倉」「岩手県」に行ってみたいなぁという希望はある。北海道から犬連れとなるとフェリー使ったり、宿泊先の確保などいろいろと大変そうではある。

by たしろ